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ふぞろいの林檎たち

 山田太一のドラマを続けてビデオで鑑賞。小説家としても、『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞し、演劇脚本作も多いが、使命感を持ってテレビでドラマ制作をして来たことを感じさせてくれる日本の代表的脚本家だろう。向田邦子・倉本聰と“シナリオライター御三家”と評されたりもした。表題は、彼の作風を象徴する代表的ドラマのタイトル。他には、出世作となった『岸辺のアルバム』、『男たちの旅路』『想い出づくり』、大河ドラマ『獅子の時代』等がある。

 山田の作品は、器用には生きられない“普通”の人々の不器用な生き方を温かく見つめることで、人間存在を掘り下げたドラマが多い。登場人物が“普通”の人々なだけに、起伏は少なく、淡々とストーリーが展開するのが特徴。

 今回鑑賞したのは、連続ドラマとしてはおよそ12年ぶりの2009年度作『ありふれた奇跡』と、20075月に放送された単発ドラマの『星ひとつの夜』。『ありふれた奇跡』は、駅のホームで不審な男を見かけたことで偶然出会ったそれまでは見ず知らずだった二人の男女を主軸に、その不審な男とそれぞれの家族の葛藤する姿を描いたもの。主人公の二人には、互いに人に言えない心の傷があったが、そのことも通して、二人の距離は縮まっていく…。殺伐とした都会で孤独に生きる人間が、不器用ながらに交流し、心を開くことで希望を見出していく姿は観る者の心を打つ。主演の二人は、加瀬亮と仲間由紀恵、共演に陣内孝則。

『星ひとつの夜』は、コンサートホールの清掃員が、50万円程の現金入りの忘れ物のコートを見つけ、持ち主の青年に届けたことで物語は始まる。清掃員には殺人で11年間刑務所に服役した過去があり、青年の方は、パソコンを使った株取引で90億もの資金を動かすデイトレーダーだった…。家族や友人との関わりが稀薄になった現代人にとって、人と関わることとは何か、他人を理解し受け入れることの困難さを考えさせられる。出演は、清掃員に渡辺謙、青年役は玉木宏。

無縁社会と言われる現代日本で、要領悪さを呈し、時には無様にも見えながら懸命に生きる人間を通して、一筋の光明と希望を与えてくれるいずれも秀逸な作品だった。自分も含め、聖書の人物もみんな“ふぞろいの林檎たち”なのかもしれない。生き難い人間社会を生きていく上に、少しは役立ったように思えた。

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コメント

お元気の様子安心しました。いま花小金井教会の帰路ですが、ちょっと寄り道をしてアイスコーヒーを飲みながらサボっています。無理せず、ボツボツとやりましょう。僕の方も夏に向ういまの季節は絶好調です。今年も曲がりなりにも冬を越したいなぁなどと呑気に暮らしています。

投稿: 石川裕 | 2013年6月 9日 (日) 13時53分

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