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やっぱ、野球中継は解説者やねぇ わたしのお気に入りの解説者たち

先週より始めた“私のこだわり”には、そのうち必ず記事を書くが、私は一途な根っからのパリーグファンである。その道40年以上、中学の頃までは、もう一方のリーグも観ていたが、高校以降はそちらはまず観ない。詳しくは、いずれ“私のこだわり”に記すのでそちらに譲るが、パソコンテレビでパの試合が観れる時代になったのは嬉しさを通り越して感動ものでさえある。07年頃からYahoo!がソフトバンク・ロッテ・日本ハム・楽天の主催ゲームをネット中継してくれるようになり(その2,3年前からソフトバンクとロッテガラミは配信されていた)、その翌年(2008年)からはついにパリーグの全試合完全中継「パ・リーグ 熱球ライブ!」が流れるようになった。これは古くからのパリーグファンにとっては悲願とさえも言えることで、日本のプロ野球界にとっても画期的なことだと思う。試合中継どころか、スポーツニュースでも、試合の結果は報道されても、その映像はほとんど流してもらえなかった時代があったことを思うと、隔世の感を禁じ得ない。こんな時代が来るとは・・・もう涙、涙である。まあ、その辺りは“私のこだわり”で書こう。

という訳で、昨年、今年は、愛するパリーグの試合を全試合観ている・・・というのはウソというか無理で、同時には1画面しか観れない(検索エンジンを変えてやってみたが無理)。それでも、生涯でこれほどパリーグを観ていることはない(88年には、球場で年間40数試合観たが・・・)。

野球は点取りゲームだから、観ていておもしろいのは打ち合いの打撃戦だろう。これは素人目にも楽しめる。でもピッチャーの球筋がよく見えるテレビ中継の場合は投手戦も捨て難い。まあ、野球観戦に限らず何事も“生”に勝るものはないから、その点でいくと、テレビでの野球観戦は疑似体験のようなものかもれしない。
しかし、そこに良い解説者がいてくれれば、疑似体験ではあっても、球場観戦では味わえないおもしろさが起こってくるものだ。だが、これも解説者がへぼだと、正に興醒めで、ぶち壊しでしかない。だから、解説者の良し悪しが、テレビ観戦の命運を握っていると言える。解説者は山登りにおけるガイドのようなもので導き手である。その導き手が良いと野球観戦のおもしろさは10倍いや100倍にもなるが、悪い解説者は観る者を死にも陥れかねない・・・とも思うほどだ。素人には本来持ちえない経験者としての“プロの視点”を視聴者は求めているのであり、それに応えてこそ解説者は視聴者を高みへと導けるのだから。

だが、結果論のみに終始したり、「アンタは応援団か」とツッコミを入れたくなるような解説者のいかに多いことか。この場合の“応援団”とは一方のチームの贔屓をする者のことではなく(そうであっても、ちゃんと解説してくれればまだまし)、ただうるさいだけで良き導き手どころか試合観戦の妨害となっていると思える輩のこと。中には、アナウンサーの方がよく分かっていて、観戦の参考になることを言ってくれることもあり、どちらが解説者か分からないような中継もある。

よく言われることに「名選手必ずしも名監督ならず」というのがあるが、これは解説者にも言えること。「名選手必ずしも名解説者ならず」である。名が知られているという理由だけで“野球解説者の肩書き”が与えられているに過ぎない“元名選手”は枚挙に遑が無い。その“名前や肩書き”に胡坐をかいて、日々の研鑽、すなわち、視聴者により良い解説を与えるための努力を怠っている“肩書き解説者”。
しかし、悪いのは、“元名選手”ばかりではない。名前だけを有り難がってそれに飛びつくくせに、名前の売れていない解説者がどんなに良い解説をしてもそれには見向きもしない視聴者にも問題がある。

その点からすると、やっぱりキャッチャー出身者の解説が断然おもしろい。そりゃそうだ。キャッチャーは守備における監督だと言われるように、1球毎にピッチャーにサインを出すだけでなく、守備陣に対しても守備位置などの指示を出してゲームを組み立てるのが役目なのだから。

今までの解説者のうちで、やっぱピカイチは野村克也だろう。捕手としての長年の経験からの解説は抜群だった。彼などは“しゃべり”はお世辞にも上手だとは言えなかった(今も?)が、それを補って余りある解説の言葉を持っていた。彼も名選手だが、名前や肩書きに頼るのでなく、解説の中身で勝負していた。ストライクゾーンを9分割した「ノムラスコープ」は評判を呼び、今では中継の際には無くてはならぬものとなり、観る者の眼をバッテリーの配球により惹きつけた。その配給の分析や打者の心理を読んだ言葉の一つひとつには説得力があった。野球が単に投げて、打って、走るだけでなく、相手の心を読んで、裏をかいたり、騙したりと言った心理面が重要な位置を占めることを教えてくれた。またその後のヤクルト監督時代に“ID野球”で名を成したが、データの重要性をいち早くこの解説者時代に知らしめた(実際は南海時代からデータ重視の野球をやっていた。先乗りスコアラーを最初に導入したのは南海監督時代の野村である)。野球というボールゲームがそういった心理戦、データ戦であることを一般に広めたという意味で、野村の解説者としての働きは、その後の野球解説者のあり方を変えた。彼などは「名選手必ずしも名解説者ならず」があたらない稀有な例だ。

次に印象深く残っている名解説者は、加藤進。元中日の捕手で、選手としてはオールスター戦に出たこともないほとんど「無名に近い」選手だったと聞いている。1960年から約20年間NHKの解説をしていた。当時のNHK解説者というと、小西得郎や松木謙治郎、彼の後に加わったメンバーも鶴岡一人、川上哲治といった大打者、大監督ばかりだった。そんなメンバーの中で、加藤の語る言葉は一つひとつに説得力があり、話術に長けていた訳ではなかったが、的確な読みと鋭い観察眼からの解説は子ども心にも印象深く残っている。彼こそは正に名選手ではないが名解説者となった良い例だろう。彼もキャッチャーだった(らしい)。

でも、いっ時に比べるなら、“応援団解説者”や“肩書き解説者”は減ったように思う。上述のYahoo!でのパリーグ中継、今年は「パ・リーグぜーんぶ無料中継~最後まで完全生中継」という番組名になったようだが、これは球団ごとによるが、基本的にはCS放送の中継の映像を配信している(ロッテのみ球団製作の映像)。この番組での解説者には“応援団解説者”や元名選手の“肩書き解説者”はあまり見当たらない。印象に残っている良い解説者を挙げると(順不同である)、佐々木恭介、阿波野秀幸、新谷博、光山英和、西崎幸広、黒木知宏、大塚光二、得津高宏、松沼博久、デニー・友利、新井宏昌、中沢伸二、河村健一郎、若菜嘉晴、岩本勉といったところであろうか。意外とピッチャー出身者が多い。やはり、現役時代からキャッチャーと共に試合を作っているのはピッチャーであり、打者との駆け引きの中で多くを学んだことによるのだろうか。

この中で、観戦の際の良き導き手となってくれている私の好みの解説者として、大塚光二、岩本勉、黒木知弘、そして光山英和の名を挙げたい。私は現役時代より黒木知弘の大ファンであったが、その頃の彼の様子からは、失礼ながらこれほど良い解説をするとは思えなかった。大塚も西武時代はどちらかと言うと地味な選手だったが、彼の分析力と展開の読みは十分に評価出来る。岩本は現役の頃から“しゃべり”は上手く、“目立ちたがり屋”の印象が強かったが、一方の側に偏らず対戦チーム側にも配慮した解説は好感が持てる(当然日ハム贔屓だとは思うのだが)。

そして、ダントツでおもしろい解説をしてくれるのが光山英和だ。名前は覚えてはいたが、純パ党の私でさえ現役時代の光山は影の薄い存在だった。しかし、彼もやはりキャッチャー出身だ。
野球の名門大阪上宮高から83年に近鉄に入団。86年から山下和彦、古久保健二と捕手三人体制の一人で、この中でも第三の存在だったと記憶している。この頃は、88年の西武との球史に残るデッドヒート、そして“あの”10.19のロッテとの川崎球場のダブルヘッダー、翌89年は西武・オリックスとで三つ巴の優勝争いをした、近鉄バファローズが一番輝いていた時代だ。この頃も光山はチーム内第三の捕手ではあったが、巨人との日本シリーズ第三戦では、先発マスクを被りヒーローインタビューを受けた(この試合で好投した加藤哲郎の試合後の「巨人はロッテより弱い」発言は物議を醸した)。
しかし光山が現役中に最も脚光を浴びたのは、90年に入団した野茂とコンビを組んでからだろう。“野茂用のキャッチャー”とも言われたが、山下に代わって正捕手の座をつかみ取って活躍、ただ野茂のメジャーリーグ移籍と共に出場機会は減り、97年に中日へ、その後99年巨人、01年ロッテ、02年横浜と渡り歩いたが、この時期は目立った活躍はしていない。一度は引退したが、現役であることにこだわり、03年に“金英和”(キム・ヨンファ)の登録名で韓国ロッテ・ジャイアンツに渡り、翌年引退。
これが光山の現役としての歩みであるが、これを見ただけでも苦労人光山の歩みを理解してもらえるだろう。また、最も目立っていたのが“野茂英雄”の“女房”としてだったというのも光山らしい。

しかし、彼のキャッチャーとしての苦労と経験は解説者として花開いているように思う。04年から、CS放送GAORAの「なまら!北海道日本ハムファイターズ中継」で解説を務めており、そのGAORAの中継がYahoo!のパリーグ中継で流されているのだ。

私は最初、その解説が誰だか分からなかったが、その解説の言葉に「いったいこれは誰か」と注目させられ、何度か聞いているうちにあの近鉄の光山だと知った。野村克也の解説とは、また一味違うが、これほどの解説は聞いたことがないと思った。捕手出身者としての分析力とリードの先読みに長けていると評判だが、「彼は予言者か」と思うほどに結果を大胆に言い切るのである。結果論を述べるのでなく、結果が出る前に、結果を言うのだ、分かり易い言葉で、しかも、素人でも納得のいくプロの眼からの理由を添えて。
試合結果としての勝ち負けを予測するのなんかではない。勝負は時の運でもあるし、チームの勝敗の結果は、打者対投手の一つひとつの戦いの積み重ねの結果だ。光山はその一つひとつの局面、打者と投手の対戦の結果につながるだろう彼の予測を視聴者に与えてくれるのだ。その打球の具体的な行方(セカンドゴロかショートゴロかとか、ライト前ヒットかレフトオーバーのツーベースか)の予測ではない。それは、その場面でバッターが打てそうか、ピッチャーが有利にたっているか、ということから、それぞれの局面で、バッターがどの球を待っているか、ピッチャーはどう攻めるべきか、何を待つべきか、どこに投げれば打ち取れるそうか、といったことを述べて、彼なりの結果の予測を伝えてくれるのだ。当然、事前に得たデータを元にしているのだろうが、プレーしているのは生身の人間であり、そこにはその時の体調や心理状態が大きく影響を与える。だからデータは重要だろうが、絶対じゃない。だからこそおもしろいのだが、だからこそ難しい。生身で戦うそれぞれの心理や体調を読まねばならない。光山はそれを投手の顔の様子やしぐさ、打者の球の見送り方やファールボールの打球の様子などから読み取って、その彼なりの読みと結果の予測を、それこそ“解説”してくれるのだ。その眼は、キャッチャーとしてのものだ。彼の眼は「応援団席」にはない。テレビの前にあるのでもない。グランドのキャッチャーの場に居て、観たこと、感じたことを視聴者に語ってくれるのだ。それも明確な言葉で、分かりやすく、しかも即座に、そして大胆に!く。

これはよほどの自信と確信がないと、言えないことだ。それがまた、全てとは言わないが、結構彼の言う通りの結果になるし、そうじゃない時であっても、何故そうなったか(ならなかったか)の納得出来る理由を言ってくれるのだから、ホントに良き導き手だ。これは彼の長年の捕手としての経験と、解説者になってからも得たデータを元にしているのだと思う。現役時代は言うに及ばず解説者になってからも、日夜、試合毎、打者毎の結果を分析して、データを得る努力をしているに違いない。じゃないと、あんな解説、絶対に出来ないと思う。

他の解説者も、こういったことをしてくれているのだろうとは思う。それが私には伝わりにくくなっていたり、私が聞き取れていないだけなのかもしれない。解説者と視聴者にも、相性というか、組み合わせの良い悪いがある。だから、その相性が一番ピッタリくるのが、私には野村であり、加藤であり、光山なのだろう。

皆さん、騙されたと思って、光山の解説を聞いてみて下さい。
光山は現在、北海道のSTVラジオでも解説をしていて、そこでの解説好感度調査ではトップの評価を得たというから、北海道では知られた存在なのだろう。が、全国的にはまだ知られていない。誰もが知っているスター選手ではなかっただろうが、それでも元プロ野球選手で、日本シリーズのお立ち台にまで立った選手ではあった。でも「光山英和」の名前を聞いただけで、どんな選手だか言える野球ファンは少ない。彼くらいの実績を持つ選手なら、いくらでもいる。でも、彼と同レベルの“解説”をしている解説者は多くはない。いや、私の知る限りでは、ほとんどいない。

是非、是非、是非、一度聞いてみてほしい。それまでの野球観戦の考え方や観方が間違いなく変わりるだろうから。北海道なら、STVが聞けるだろうが、他地域のものはそうはいかない。CSのGAORAと契約することも一つだろうが、Yahoo!はパソコンがありネットをつなげて、一定の“環境”さえ整えれば、誰でも無料で観れる。光山は、ハム主催ゲーム(基本は札幌ドーム)に出ている。ただ、Yahoo!のハム戦は彼だけが解説をしているわけではない。芝草宇宙や金石昭人や佐々木恭介、また岩本ガンちゃん(そういやあ、今年はガンちゃんの解説聞いていないなあ、どうしたのか・・・)も担当している。それぞれに味があってよいのだが(このメンバーには“応援団解説者”も“肩書き解説者”もいません。ただ、若干、一人だけ、私との相性がそれほど良いわけでない人がいますが、それは伏せておきましょう。)、私のお勧めは断然、光山英和だ。事前にどの試合が光山の解説かが分かるすべを今のところ、私は知らない。だから、観て初めて誰の解説かが分かる状態。でも、事前に分かるすべがあると思うので、分かれば、またここで紹介します。だから、これを読んで、光山の解説に興味を持った人は、是非!一度、光山英和をお試しいただければと思うのである。

光山の解説を聞いたことのある人、聞いてみようと思った人、またYahoo!の中継を観ている人も、そしてパ・リーグ大好きな人 是非クリック下さい。 ⇒ブログランキング・にほんブログ村へ
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コメント

たかちゃんさん、いつもご訪問下さり感謝します。
最近は聞いたことないですが、昔はたまにアナウンサーだけのラジオ中継がありました。
確かに、解説者なんかいらないと思える中継がありますね。しかし野球は奥が深いですよ。技術的な面においては言うに及ばず、心理戦のことなど、経験者からのコメント等は、特に私のような素人には必要で、それを知ることで、観戦が断然おもしろくなります。是非、光山やその他ここで挙げた解説者の中継を聞いてみて下さい。
コメントありがとうございました。

投稿: ヒラリン | 2009年7月25日 (土) 02時05分

いつも楽しく見させていただきます
解説の話興味ありましたので、楽しく拝見しました。
私個人の意見ですが、野球放送に解説はいりませんね。
解説者にいくらのお金を払っているでしょうかね。

投稿: たかちゃん | 2009年7月25日 (土) 00時04分

いつも読んでくれてありがとう
通かどうかは分からんし、珈琲と同じで病気かも分からんよ( ̄○ ̄;)!
今年のロッテは駄目やろね。ベイスターズも…
最下位シリーズやったらオモロいかも
あ、横浜はこれから浮上するかもしれんのに、失礼しましたm(__)m

投稿: ヒラリン | 2009年7月22日 (水) 09時06分

よく野球を見るものにとって、解説の善し悪しで見る気も失せてしまうとか聞く気も失せることがある。近頃は、全く野球を見るのはない。旦那が興味ないから(笑)
ただわたしが横浜ベイスターズファンなのはわかってるようだ。

解説でみる先生はある意味通かも

投稿: ともちゃん | 2009年7月22日 (水) 07時20分

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