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スクリーンと銀幕

今週月曜日の12月1日は映画の日だった。今では毎月1日が映画の日とされ、入場料金が1000円になるが、90年より以前は1年中で12月1日だけが映画の日で入場料が安かったと記憶している(確か700円じゃなかったかなあ)。

この映画の日を利用して、『容疑者Xの献身』を午前中に、夜には『ハッピーフライト』を、シネコンで観た。1日に2回映画館に足を運んで鑑賞したのは久しぶりのこと。両作品とも思っていたよりも見応えがあったので、いずれ感想等記そうと思う。

高知は街中に映画館がなくなってしまい寂しい限りだと、同級生のA君にメールしたら、京都も御多分にもれず同じで、シネコン以外のロードショー館は1館だけ(東宝公楽)になったとのこと。老舗だった京宝(京都宝塚劇場)もスカラ座もなくなり、何とあの松竹座はシネコンになったというのだ。時代の変化を感ぜざるをえない。

映画館で映画を観る機会が減って久しい。言うまでもなく家庭用ヴィデオの普及のためだ。レンタルショップに行けば、昔の名作でも観たい映画が自宅で観られる時代になったのだから仕方がないとは思う。しかし映画を観る醍醐味は、映画館でないと味わえないのも事実である。自宅の小さな画面が、劇場の大画面の迫力に及ばないのは言うまでもない。でもそれならば、自宅に大きなスクリーンを構えればすむことだが(それはそれで大変だけども)、事はそれだけではない。

映画を映画館、劇場で観る醍醐味は、大画面であることだけではない。一つの空間の中で、他の多くの観客と共に一本の映画を享受することにこそ、映画を楽しむ原点があるのだと思う。銀幕に映し出される映像の物語を、共に泣き、共に笑い、拍手あり、掛け声さえ起こるあの瞬間、あれこそが映画を劇場で観ることの醍醐味だ。そう、あの『ニューシネマパラダイス』の“パラダイス座”、あの雰囲気こそが映画館の真骨頂なのではないか。

私は映画の全盛時代、映画が娯楽の王様だった時代をリアルタイムでは経験していない。しかし、私の時代にも“『寅さん』映画の劇場”には、まだその頃の雰囲気が残っていた。渥美清が銀幕に登場するだけで、拍手が起こり、寅次郎の一挙手一投足に泣きが入り、笑いが起こる。そこでは観客たちは決して優等生の聴衆ではない。しかし、一本の映画に共感し、感動する一体感がそこにはあったし、同じ映画を楽しむ仲間意識が芽生えていた。この臨場感と雰囲気が自宅のヴィデオシアターで再現出来ないのは言うまでもないが、現在のシネコンのスクリーンでは、観客たちのあの熱い雰囲気を醸し出すことは到底出来ないと思うのである。

私はスクリーンと銀幕とは違うと思っている。現在の映画館の主流になった(なってしまった?)シネコンの映写幕は、スクリーンではあっても、銀幕と呼ぶ気にはならない。劇場の映写幕を銀幕と呼んだ時代のあの“熱さ”が、シネコンのスクリーンからは全く感じられないからである。

シネコンでは、映画上映前にスクリーン等においていくつかの情報が流される。系列シネコン内でのサービスや特典と共に、“鑑賞マナー”がこれでもかと放送される。しかし、観客へのこの“鑑賞マナー”の垂れ流しは、私には余計なお世話、押し付けにしか感じられない。上映中の私語や携帯の呼び出し音は迷惑でしかないから、観客のマナーアップに貢献していることは疑いないだろう。だが、一方において、この呼びかけは観客の分断化を促しているのではないだろうか。観客が一体感をもって映画を楽しむことを阻み、銀幕のスターたちの一挙手一投足に笑い涙することを憚らせる思いを観客に与えてしまってはいまいか。その結果、劇場はお上品な人々の集まる場となり、あの“パラダイス座”や私が体験した“『寅さん』映画の劇場”とは似ても似付かない空間となってしまっている。

劇場の上映幕が銀幕と呼ばれた時代、そこにはストーリーに感動する一体となった観客の姿があった。しかし上映幕をスクリーンと呼ぶシネコンにおいては、分断化され、ストーリーに感動して声を出すことすらためらわされている人々しかいない。

そんな思いをもたされた、シネコンでの一日であった。

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コメント

最近、映画館で映画見てません。

夏に見た「ダークナイト」は面白かったですね。「正義」について考えさせられました。

上映され次第「007慰めの報酬」でも見にいこうかなと思ってます。

投稿: HAWKS-V | 2008年12月 6日 (土) 17時10分

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